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2016'03.25 (Fri)

失せ物みつからず・・・泥棒なのか老化なのか

昔、といっても10年くらい前まで、
ご近所にカギばあさん、と言われている人が住んでいた。

体中にカギをジャラジャラと付けて、
お財布は、腹巻の中。そしていつも大荷物。
どこに行くにもガラガラと古びたキャリーを押していた。

泥棒に入られたから、戸締りを厳重にして、
大切な物は肌身離さず持ち歩いているのだとか。
私の子どもの頃から住まわれていて、子ども時代は、
そんなに特異な印象は無かったように思うのだ。
私は、話したこともあったし、挨拶だって交わしていたのだから。
でも、いつの頃からか、あのようになってしまったのだ・・・

出前に来たお寿司やさんが、ヘアブラシを盗んで行った。
ガスの検針は泥棒で、ズロースを持って行ってしまった。
とにかく騒ぎが絶えず、交番の巡査もしょっちゅう呼び出されて、
挙句の果てに、泥棒とグルだ!! などと糾弾されたりもしていた。

人は、どうしてあのような状態になってしまうのか・・・
それが老化ということなのだろうか。

ご近所のお婆さんは、一人暮らしで、
奇行が目に付くようになってからは、みんなが距離を置いていた。
私も、目を合わさないようにしていたし、
息子たちにもそんな注意をしていたのだから。

でも、考えて見れば、様子のおかしいことを気にかけて、
何か手立てを講じてくれる人が居なかったということなのだ。

最晩年は、我が社の駐車場にダンボールを敷いて
その上に座り、半日くらい過ごしていたこともあった。
その時は、私は黙認していた。
そこが気持ちが落ち着くなら、居れば良い、と思って。

そうこうするうちに、亡くなった、と聞かされたのだけれど、
驚いたのは、息子さんという方が、荷物を片付けるので、
車を止めさせて欲しい、と言いに来た事だった。

息子さんが居たのだ!!

何が理由で疎遠だったのかは分からないけれど、
私はあのお婆さんの孤独が目に見えたような気がしたものだ。

孤立無援。一人で年老いて行けば、
あのようにならないという保障は無いはず。
私だって誰だって。
淋しさの裏返しは人への不信なのだろうか。

頼まれて現地調査に行ったのに、
帰った後は、必ず物が無くなっている。
警察沙汰にする、みたいに言われてしまったこともあったけれど、
今後、増えてくるのかもしれない。

会社としての対応を考えなければならないのは当然なのだが、
私は、人ごととは思えずにいる。
我が身の処し方をどうすれば良いのか、気にかかる。

生きて来たように老いて行く。
自分の生き方が問われるのだろう。

私はどんなお婆さんになるのだろう。
ちょっと怖かったりする。






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